第12章 キミのせい
「……オレの調子が最近おかしいことは知っているだろう」
「うん。充分知ってる」
「…そこで、お前に聞いて欲しいことがある。バカなお前では分からないかもしれないが」
「バカで悪かったな!!!で!何なんだよ!」
緑間は緊張した面持ちで一息つくと言った。
「今は大丈夫なのだが、最近よく動悸がするんだ。」
「やっぱり?この前そんな本忘れてったもんな」
「そうだ。ちょうどその日のラッキーアイテムが小説だったということもあり、心配になってあの本を選んだのだよ」
「この年で動悸がするとかやべーだろ?病院行ったの?」
「いや、行っていない」
「早く行けって!何かあるかもじゃん!」
「最初のうちはすぐに治ると思っていたのだ。動悸がするだけでこれといった痛みもない。だが、いつまで経っても治らないどころか悪化していくばかりだ。いろいろ調べてはみたのだが、どこにもオレと同じ症状が書いていないから困っているのだよ」
「ならなおさら早く行けって!」
「だからお前に一度聞いて、答えが出なかったら行こうと思っていたのだよ。」
「ごめん、普通に分かんねーわ。心臓発作とか起こすんじゃねーの?」
「そうも考えた。だが動悸がするのはある決まった時だけなのだよ」
「決まった時?」
高尾は訳がわからず、一旦ボールを籠に戻してから首を傾げた。
「そうだ。それが不可解なのだよ」
「で、それはどーゆー時なの?」
緑間は緊張した面持ちで息を吐き出してから言った。
二人しかいない体育館に静寂が訪れる。
「………高槻が、いるときだ」
「…………え??」
「高槻と一緒にいると、動悸が起こる。」
「……どんなふうに?」
高尾は微かに笑みを浮かべて言った。