• テキストサイズ

The Way【黒子のバスケ】

第11章 Come back.


言われるがまま中に入ると、家の中は相当広かった。
心結はリビングの椅子にちょこんと座ってキョロキョロと家の中を眺めた。
すると戻ってきた女の人が、心結の前にお茶の入ったカップを置いた。


「ほんと、寒いのにわざわざごめんなさいね」

「いえいえ!それより、緑間くん大丈夫ですか?」

「気分が悪いから寝るって言ってたけど、熱もないし大丈夫みたいよ?」

「そうですか…なら良かった」


少しホッとする。でもまだ油断はできない。
と、言うよりもとにかく落ち着かない。
とりあえず気になることを聞いてみた。



「あの……もしかして、緑間くんのお母様ですか?」


目の前に座っている女の人はコップに入っているお茶を一口飲むと、「そうよ。」と答えた。



何と言うか、違う。
とにかく違う。
似ていないというか、全くもってイメージと違う。
想像していたのは緑間と同じようにメガネをかけていて、真面目そうで堅いイメージの女の人だった。
だが目の前に座っているのは綺麗で、優しそうで大人な女の人。メガネもかけていないしなのだよとも言わない。それが反対に緊張する。


「似てないでしょ?」


少し悪いと思いながらも心結はコクリと小さく頷いた。


「いろんな人に言われるの。親子じゃないんじゃないかって思うほど似てないってね。わたしはラッキーアイテムなんて持ち歩かないし、なのだよとも言わないから」


確かに、言われても疑うほど似てない。特に性格が。


「でも変なところにこだわりがあるところとか、抜けてるところとか、顔のパーツとか似てると思うんだけどなぁ」


確かにそう言われればどことなく雰囲気が似ている。
整った顔立ちに長い睫毛。メガネをかければ雰囲気はそっくりだと思う。

それに以前、緑間の母が間違えて弁当箱の代わりに辞書を包んで持たせたという衝撃の事実に高尾と爆笑したり、ラッキーアイテムで母が昔履いていた赤のハイヒールを持ってきていて、「真ちゃんのお母さんてけっこう派手なんだな…」と思ったことを思い出した。
今思えば、緑間の母も本人に似て変わった人なんだと考えていたことも思い出す。


確かに言われたとおりの人だった。



/ 344ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp