第11章 Come back.
夢は、自分の部屋のベッドで横になりながら考えこんでいた。
日は沈み、部屋の中は真っ暗だったが電気はつけない。静寂の中で起き上がる気になれなかった。
三学期が始まって数日後のこと。
運の良いことに高尾と二人きりで話せる機会があった。
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「お、西堂じゃん!」
いつも通り帰り道の公園を歩いていると、後ろから走ってきた高尾に声をかけられた。
いきなりのことに驚きと緊張で体が跳ね上がる。
「高尾くんっ!」
「そこの公園でバスケして帰ろうと思ったら西堂見つけたから声かけちった」
そう言うと高尾は持っていたバスケットボールを指でくるくると回した。
「あぁごめん、特に用はないんだ!」
そう言われると何とも少し残念な気分になる。
緊張でパニックになるのを抑えながら、夢は勇気を出して恐る恐る口を開いた。
「高尾くんこれからバスケするの?」
「そうそう!」
「ならっ……高尾くんがバスケしてるところ見たいな、なんて…」
「オレが?」
「あっごめんなさい!迷惑だよね!邪魔してごめんね!」
やっぱり返事を聞くのが怖くて夢は身を翻してその場から逃げ出そうとした。だがそれより先に高尾は夢目掛けてボールを投げた。
「別にいーけど?なら一人じゃ寂しいし、一緒にバスケしよーぜ!」
と、いうことで。
高尾と夢は二人でバスケコートにいた。
バスケなんて体育でしかやったことがない夢は高尾にボールをもらってもどうしていいか分からずただあたふたするだけ。
「ごめんわたしバスケ苦手で…」
さっきからひたすらゴールにシュートしている夢。
何本かうっても、まぐれで一本入るか入らないかだ。
「西堂がバスケ苦手だってのは分かった!」