第10章 秘密
「じゃあこんど!いっしょにバスケしよ!おねーちゃんも、和成おにいちゃんもみんなで!」
「そうだな。みんなでバスケするのだよ。」
「なんか、すごいことになりそうだね」
心結はクスクスと笑った。
その姿を見て、空も笑っている。緑間も口元を緩めた。
「ぼく、もっかいブランコしてくる!」
「わかった。」
「一人でできるからだいじょーぶ!おにいちゃんすわってていいよ!」
立ち上がろうとする緑間を抑えて、空は一人でブランコの方へ真っ直ぐ走っていった。
座りながら、空がブランコをこいでいる姿が見える。
「真ちゃん、付き合ってくれてありがとね。あんなにはしゃぐ空見たの久しぶりだったから、すごく嬉しかったんだぁ」
「なら、よかったのだよ。大変だな、高槻も」
「いやいや、わたしなんか。わたしはみんなとやりたいことがやれて、バスケができてそれだけで幸せだよ。空にはすごく寂しい思いをさせちゃってると思うけど」
心結からは詳しいことは何も言われていないが、何が言いたいのかは分かった。
きっと、あの話をしているのだろう。
心結に会う前、そのことで少し苛立ちを覚えて外に出たのを思い出した。
また、何も話してくれないのだろうか。
「高槻、」
「なに?」
振り返った時の心結は、とても悲しそうな顔をしていた。
ならいっそのこと、聞いてしまおうと思った。
高尾には申し訳ないが。
「W・Cの前日、お前は家に一人で住んでいると言っていただろう。どういうことだ?」
「あ、あの話は真ちゃんが気にするようなことじゃないから…」
「高尾が知っていて、オレが知らないのは気に食わん。」
「あ、もしかして和成から聞いた……?」
「…聞いてしまったのだよ。すまない。」
「大丈夫だよ。隠そうともしてないし、特別なことでもないから」
すると心結は一旦俯いて、目を擦ってからゆっくりと話し始めた。
高槻は、高尾が言っていたことと同じことをオレに話してくれた。