第10章 秘密
緑間の家から歩いて数分のところに小さな公園があった。すべり台やブランコ、シーソーなど、基本的な遊具しかない小さな公園だ。
見渡すと、その公園には三人以外に誰もいない。
公園の中に入ると、空は真っ先にすべり台に走り寄った。
「おにいちゃん!すべり台しよ!」
空はすべり台の階段を駆け上がり、上で緑間に手を振っている。公園に来るのは何年ぶりだろうか。
緑間はすべり台の所まで行くと、空の後を追いかけて階段をのぼろうとした。
「公園の遊具とはこんなに小さいのか……」
背の高い緑間からしたら、幼児向けの遊具はおもちゃのようで、すべり台の階段をのぼるだけで精一杯だ。
とても滑れそうにない。
「真ちゃんすべり台にお尻はまんないwwwwww」
心結はその光景を見て、大笑いしている。
緑間は何とも恥ずかしくなって、そのまま一生懸命に空の後を滑った。
「………笑うな」
「真ちゃんほんとおもしろいんだけどwwwてか遊具とか似合わなすぎwww」
その後も三人はシーソーをしたり、ブランコをしたりして遊んだ。緑間はおどおどしながらも空の言うことに付き合ってくれていた。
緑間の意外な素顔が垣間見えた瞬間だった。
「ボールを持ってくればよかったのだよ」
「あ、バスケできたね」
「そうなのだよ。」
小さなベンチに、心結と緑間は腰掛けた。
その間に空も座る。
「……空、」
「なにー?」
「お前はバスケをしたことがあるか?」
「うん!あるよ!お姉ちゃんと、和成おにいちゃんと!」
「高尾とやったことがあるのか。」
「うん!和成おにいちゃんね、バスケすっごくうまくてかっこいいんだよ!」
「そうか、…そうだな。」
「おにいちゃんは?バスケすごいの?」
「……すごいかは分からんが、好きなのだよ」
「真ちゃん、すっごくうまいんだよ。」
すごくうまいと言った心結の言葉に、空は隣でキラキラと目を輝かせ、緑間は少し照れたような顔をした。