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好きです、菅原先輩

第2章 マネージャー?


言い終わってから、顔が青ざめていくのを感じた。
何言ってるんだ、私は。
調子に乗り過ぎた。
そんなこと言う権利、私にない。

すっかり萎縮して何も言えなくなってしまう。

「・・・はぁ」
「っ、」

私を見下ろしていた月島君が、やがてため息をついて椅子に座り直した。

「わかったよ。悪かった」

「っいえ、こちらこそ、ごめんなさい」

よ、良かった・・・!

ホッして山口君の方を見ると、山口君も同じような表情でこちらを見ていた。
パチリの目が合って、思わず二人して吹き出してしまう。

「ぷっ!」

「ちょ、何、二人共」

「さすがツッキー!ふふっ」

「つ、つっきー・・・!」

「・・・ちょっと、君までその呼び方とかやめてよ」

「う、ごめんなさい・・・」

「別に怒ってないけど!」

空気が明るくなったのがわかる。
こんなに男子と打ち解けて話せたのは小学校ぶりかもしれない。

(月島君、怖いと思ってたけど意外と面白いなぁ。山口君も優しいし)

心が溶けていくみたいにあったかくなるのを感じた。

「ていうかさ、なんでマネージャーやらないワケ?君」

「うんうん!俺苗字さんにマネージャーやってもらいたい」

「え、と・・・」

思いがけずマネージャーの話題になって、言葉に詰まる。
山口君の言葉はすごく嬉しいけど・・・。

「・・・さっき言ったみたいにさ、烏野って全国目指してるし、私みたいなのが軽い気持ちで入部したら失礼かなって」

「何それ、意味わかんないんですケド」

「え?」

「それ、適当にこじつけて逃げてるだけじゃないの?」

逃げてる?
逃げてるって、何から?

「君コミュニケーションとか苦手そうだし不安なんだろうけど。でも環境のせいにして言い訳するとか、それって自己正当化してるってことなんじゃないの?」

「・・・」


そうかもしれない。

私は菅原先輩に近づく勇気を持てなくて、言い訳して逃げてきた。
自分から近づくことを拒んだくせに、告白して自分の気持ちは押し付けて。
勝手にフられて、勝手に泣いて。

同じ土台に立とうともせず、勝手に玉砕した。

そして、今も勇気を出せずにいる。

土台に這い上がるための切符を目の前に晒されてもなお、それから目を逸らし続けているのだ。

(なんて・・・情けない)
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