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【R18】月島蛍は何色の夢をみるか?

第5章 初めてのデート



気づかれないようにほっと息を吐く。

これでこっちも言える。

「ごめん…ずっと言わないでおこうと思ってたの」

「なんで?」

「……」

「まただんまり?」

「違うの、あの、私……」

月島のお腹の高さで下を向いていた彼女が、顔を上げた。

「蛍くん、私ね、」

「あれ、月島じゃん!?」

「あ、ホントだ、何してんだよ、こんなとこで」

彼女の声に被るように後ろから声がかかる。

田中と西谷だった。

最悪……

「おい、お前今最悪とか思っただろ!!」

カンのいい西谷が指差しながら叫ぶ。

「なんだと~、先輩に向かってなんだその態度はっ」

「そうだそうだ」

がなり立てる2人の登場に、彼女がとっさに体を離す。

「僕まだ何も言ってませんけど……」

「あれ、なに、お前デート中だったのか」

「違います」

「違わねーだろ。なんだよ、紹介しろよ」

「だから違いますって。てか2人ともどっか行って下さい」

素で言うと、また「なんだと~!」と西谷がつっかかってくる。

「あの、月島の彼女さんっすよね?……小っちゃくて可愛いっすね!」

田中がなぜか顔を赤らめて訊く。

「いえ、あの……私、ちが……」

「だから違うって言ってるじゃないですか」

「ウソつけ、こんな夜に2人でいちゃいちゃしやがって!」

「そうだそうだ!」

うらやましいのか? 

八つ当たり?

「お前、今八つ当たりとか思っただろ!?」

「別に俺ら羨ましいとか、ぜんっぜん思ってないからな!」

こういうカンだけは鋭い。

「ってか、そっちこそ2人して何してるんですか」

「俺らはそこで今映画見てきたんだよ。西谷おススメのこてこてアクション」

たしかに水族館の裏に大きなショッピングモールがあって、映画館も入っている。

「お前らは?」

「別になんでもいいじゃないですか」

「彼女と一緒に……」

「水族館デートか……」

「だから違います。別に彼女じゃありませんから」

言ってから、ちらりと彼女を見る。

曖昧に笑んだ顔が、ちょっと悲しそうに見えたのは、気のせい?

それとも勝手な希望的観測?

だって、彼女じゃない、今は。

今ちょうどそうなりかけようとしていたところだった。

「ねえ、蛍くん、私先に帰るね」

「え、なに急に」



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