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溺れる

第3章 エレベーター


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乗ってたエレベーターに急に大量の荷物を持った女性が乗り込んできた。

背が高いその女性は、何度も「すいません」と頭を下げてくれて、黒いストレートロングの髪がサラサラ落ちた。

女性が行き先階を押して動き出したエレベーターが、ガクンと大きく揺れたと思ったら止まった。
両手の荷物が邪魔をして、バランスを崩した女性を支えるように背中に手をのばした。

女性はまた、何度も頭を下げながら「すいません」と言うのが可愛いくて笑ってしまった。

エレベーター会社は20分ぐらいで動くと言うから、話でもしてないと、場がもたない。

スイートに友達と泊まるなんてと思っていたら、次の言葉にひっかかった。
好きなアーティスト?

男性:「この近所で?」

依公子:「はい。恥ずかしい話ですが、ジャニーズのコンサートです♪」

男性:「もしかして、キスマイ?」

依公子:「え!?あ、ハイ・・・」

男性:「どうして恥ずかしいんですか?」

依公子:「イヤ、だって、若いですし・・・ファンの女の子たちも若かったですしね(笑)」

年齢を気にしながら照れくさそうに笑う彼女がなんだか可愛くて、フードとサングラスを外しながら、

男性:「歳なんて関係ないですよ♪ピンクのセーター着てるってことはオレの担当ですか?」

目を合わせてそう言うと、彼女の顔が一気に紅くなっていった。



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