第3章 エレベーター
オレ?
今、オレって言った?
ゆっくり顔を上げて見たら、目の前には藤ヶ谷太輔くん!
恥ずかしくて、恥ずかしくて、全身の体温が一気に上がった。
依公子:「え!えっっ!ふ、藤ヶ谷くん!?」
思わず深々と頭を下げてしまった。
依公子:「すいません!!」
顔を上げられなくて、フリーズした状態で居ると、
太輔:「あはは。驚かせてすいません!顔上げて下さいよ♪話辛いです♪」
依公子:「イヤ、もぅ、あの、話さなくて良いです!えっと…すいません!」
太輔:「(笑)なんで謝るんですか?」
依公子:「えっと…同じ空気を吸ってすいません…」
太輔:「コンサート会場で同じ空気吸いましたよ?」
依公子:「えっと…近すぎてすいません!」
太輔:「同じエレベーターですからね?オレらもこのホテルなんで仕方ないですよね?」
依公子:「…」
太輔:「顔上げてもらえませんか?」
私の肩にソッと手を置いて、優しく言ってくれたので、恐る恐る顔を上げた。
目の前の藤ヶ谷くんはさっきのコンサートでの彼とはまた違う、優しい笑顔でニッコリ笑ってくれていた。