第11章 偶然
太輔:「…元気だった?」
依公子:「…うん…」
太輔:「…ずっと…会いたかった…」
静かに私をみつめる太輔くんの視線がわかる…
顔を上げられない…
その顔を見てしまうと動けなくなる…
依公子:「………」
太輔:「…あの日、あれからどうしたの?」
急に立ち上がって、CDラックから1枚取り出してかけてくれた音楽は、あの日何気無く言った私の好きなアーティスト。
太輔:「良い曲いっぱいだね。俺も好きになったんだ♪」
依公子:「良かった♪」
やっと顔を上げる事かできた私に太輔くんは微笑んでくれる。
依公子:「あの後は、みんなでジャニショで写真買いまくったよ♪」
依公子:「寝ちゃった二人が悔しがってた♪現実味がないって!」
思い出して笑顔になった私に
太輔:「また今度みんなで飲む?」
と聞いてくれた。
依公子:「ん~もうこの子、預けられないから夜は出られないなぁ…」
太輔:「そいえば、なんでここに居るの?」
フッと気が付いた彼が首を傾げる。
依公子:「ん?旦那の転勤に付いてきたの」
眠る楓の頭にソッと手を置いた。