第6章 お届けもの
依公子:「イエ、私が悪いんです。こんな時間にすいません。フロントに預ければ良かったですね。ごめんなさい。おやすみなさい」
一気にそう言って、捕まれてる手を伸ばしてドアを開けようとしたら、
太輔:「…行かないで…」
静かに後ろから私を抱き締めて、耳元で呟いた彼の声がものすごく弱々しくて、思わずドアから手を離した。
太輔:「…ごめん…」
動かない私に、首筋に顔を埋めてる彼がそう言った。
依公子:「あの…大丈夫?」
どうして良いか分からなくて、声をかけてみた。
依公子:「…眠れないの?」
全く動かない彼に
依公子:「眠るまで傍に居よっか?」
言ってみたけど、全く動かない。
依公子:「太輔くん?」
やっと少し顔をあげて
太輔:「名前、呼んで…」
依公子:「…太輔くん」
抱き締める腕が強くなる…
依公子:「太輔くん」
首筋にキスしてくる…
依公子:「…太輔…?」
依公子:「どしたの?」
ゆっくりと抱き締めてくれてる腕をゆるめて彼の方に向き直る。
顔を覗きこむと、困った顔で笑った。