第6章 お届けもの
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わざと時計を忘れた。
もう一度会いたいと思ったから…
他に方法が思い浮かばなかった。
案の定、彼女は届けてくれる。
さっき別れてから1時間ぐらいしか経ってない。
なのに、もう彼女を欲してる…
触れたい…抱き締めたい…声が聞きたい…
再び目の前に現れた彼女に、我慢できずにキスをした。
夢中になってると、彼女が離れようとしたので、我にかえった。
きっと彼女は、俺じゃなくても同じように時計を届けたんだろうと思うと、腹立たしくて、冷たく突き放すような言い方をしてしまった。
震える声を我慢する彼女が帰ろうとする。
泣かせたいわけじゃない。
ひき止めたくて、声をかけて抱き締める。
優しく呼んでくれる名前を聞いて、想いが確信に変わって行った…
俺は、出口の見えない恋に落ちていた…
彼女が好きだ…