第4章 散切り頭を叩いても手が赤くなるだけに決まってる/×坂田銀時
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キレて突然寝だすのを面白がられて、柚香は万屋で怒っては寝て怒っては寝て、を繰り返した。
体力も限界に近づき、夜の九時には力尽きて完全に寝入ってしまう。
銀時らが、やりすぎた、と気付くには遅すぎた。
誰も彼女の実家の場所がわからない。
「オィイイイイイ! どーすんだこのチワワっ子!? 家に返せねーぞ!?」
「俺に聞かれたって知りませんよそんなこと! 大体銀さんが柚香ちゃんで遊ぶから悪いんでしょォオオ!?」
「テメーも一緒になって遊んでただるぉうがよォ!!」
「もう、うちに泊めちゃえばいいアル」
神楽がアクビをしながら言った。彼女も遊び疲れたらしい。
銀時と新八はピキンと固まり、それしかないかとソファの上でぐーぐー寝息を立てている柚香を見た。
「年頃のチワワ娘朝帰りさせちまうたァ、俺も悪くなったぜ……」
「明日柚香ちゃんの家に謝りに行きますからね! ちゃんと朝起きてくださいよ!?」
「わぁーってるって」
銀時はうーんと伸びをして、自室に布団を敷きに行った。
「オイ、神楽。お前今日は柚香と俺の布団で寝ろよ。かわりに新八は押入れで寝とけ」
「ぇえ~~~!? 銀ちゃんの布団臭そうだから絶対イヤ」
「何言ってるんですかコノヤロー!! 俺の布団は常におひさまの香りでいっぱいだっつの!!! 柔軟剤たっぷりだってェーの!!」
「嘘アル。干してるとこも洗ってるとこも見たことねーヨ」
神楽はジトッとした目を銀時に向けた。
「銀ちゃんが柚香と寝れば良いネ!」
神楽の言葉に、再び固まる男たち。
何言っちゃってんのこの子は、と銀時は戦慄した。
「……銀さん、本気にしてないですよねェエ!? 彼女まだ嫁入り前ですよ!?」
「ったりめーだバカヤロー!! あんな小娘に手ェ出すほど腐ってませんからバカヤロー!!」
――結局、話し合いの末に男二人はソファで。神楽はいつも通り、柚香は銀時の布団で寝ることになった。
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