第4章 散切り頭を叩いても手が赤くなるだけに決まってる/×坂田銀時
テレビにも飽きてしまったのか、神楽がひょっこりと柚香の隣りに座った。
「私、あんたのことは好きになれそうアル!」
「な、なんですか、突然……」
存外に照れ屋らしい柚香は神楽の言葉に赤面して視線を泳がせた。
神楽のことを直視していないせいで、彼女の視線が柚香のぺったんこな胸に注がれていることには気付いていないようだった。
「それにしてもよォ、お前、キレると力抜けて寝ちまうんだろ? それにしちゃ沸点ひくすぎんだろ」
銀時は今日の分の糖分として、先ほど自分で泡立てた生クリームを食べている。
泡だて器についたものまで綺麗に舐め取り、もの足りねぇな、と砂糖を追加した。
「うるさいわね、これでも怒らないように努力してんのよ。私、もともと柔和な性格なんだからっ!」
「嘘つけェエエエエエ!!」
柚香はふんぞり返って言うが、これまでの行動からその言葉に説得力はゼロだ。
銀時は泡だて器とボウルをテーブルの上に置き、冷蔵庫から紙パックを取り出した。
「ほらよ、カルシウムとれカルシウム。これで大体は良くなる。人生カルシウム取ってなんぼだ!」
そう言って渡した物のラベルにはピンク色の可愛らしいフォントで「いちご・みるく」
柚香はオエエ、と言った。
「そんな甘ったるいもん飲めないわよ! せめて一味無いの!? 私甘辛MIXじゃないと受け付けないから」
「若い女のファッション用語みてぇに言ってんじゃねーよ、このわがままっ子がァ!!」
彼はストローを紙パックにぶっ挿すと、柚香にジリジリと近づいた。
「ちょ、ちょっと。何する気!? 寄ってこないで変態、置換!」
「寺子屋で寝てばっかだから、"痴漢"の漢字もわからなくなんだよォ!!」
柚香の顔をがっしり掴み、嫌がるのを抑えつけて口の中にストローを突っ込んだ。
「ほぉ~~~~ら、飲んでごらァア~~ん? 美味しいミルクでちゅよォ~~??」
「ふざ、け、ゴホッ! ゲホッ!」
「神楽ァ! そっち抑えろォ!」
「ガッテン承知ノスケ!」
神楽と銀時、二人の怪力に負けて柚香はいちごみるくを無理やり飲まされた。
途中でブチ切れて、再び眠りこけたのは言うまでもない。
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