第4章 散切り頭を叩いても手が赤くなるだけに決まってる/×坂田銀時
*
「なんなの、なんなのよ貴方達ィイイ!! なんで私の袴めくってるんですか、ちょっと更にめくらないでよバカヤロー!」
「うるっせーぞチワワァアアアア!! テメーが突然倒れたから拾って連れてきてやったんだよ!」
チワワは一瞬ハッとしたような顔になったが、再び目尻を釣り上げて銀時に食って掛かった。
神楽から袴の裾を取り上げて、両の足でギュッと挟んでいる。変態ファミリーだと誤解されたらしい。
「私はチワワじゃ無いわよ! 本間柚香っていう立派な名前があるの!!」
「え~~~何ィ~~? チワーノルド・チワルツェネッガー?」
「シュワちゃんみたいに言ってんじゃ無いわよォオオオオ!!」
二人が言い合いをしている間に、神楽は銀時がほっぽった新八の本体を拾って掛けてやった。
ようやく視界がクリアになった彼は、柚香の顔を見て叫び声をあげる。
「あ、アアアア!! 君は、もしかして本間柚香ちゃん!?」
彼女を指さして、何度もメガネを弄っている。
柚香が新八を振り返って怪訝そうな顔をした。
「あんたもしかして……お妙さんとこの弟?」
銀時の胸ぐらを再び掴んでいた彼女は、彼から離れてまじまじと新八を見た。
「んでェ~~~、新八くんとチワワさんはァ~~どのようなァご関係なんですかァ~~?」
銀時は面白くなさそうにほじった鼻くそを柚香にフッと飛ばしながら言った。
彼女の中にはまた怒りがこみ上げてきたが、助けてもらった恩がある以上簡単にはキレられなくなっているようだ。
神楽もあまり興味が無いのか、テレビ視聴に戻っている。
「寺子屋で、一緒だったんですよ。柚香ちゃん凄く有名だったんです。居眠りで。」
「何余計なこと言ってんのよメガネ、しばくぞ」
柚香が新八に凄むと、彼は青ざめた顔で「まぁまぁ」と言った。
――どうやら、突然寝てしまうのは体質らしい。
「急に眠くなったり、大きく感情が上下すると脱力して寝ちゃうのよ。面倒くさい体なの!」
プリプリと怒りながら彼女は説明した。
どうりであんな事になったわけだ、と銀時は納得する。