第5章 モデルさんと海常高校
ー4月23日(木)昼休みー
いつものように一緒にお昼ご飯を食べていると、
いちごオレを飲みながら真実が尋ねてきた。
「あれ?奏、今日はコンビニのパン?」
「あ、うん。ちょっと寝坊しちゃって……」
コロッケサンドを頬張りながら、
真実の可愛らしいお弁当をじっと見つめる。
「どうかした?」
「いや、毎日可愛いお弁当だなーって思って……」
「あー、お母さんが料理好きなの。このお弁当箱も巾着もお母さんの趣味で……。その可愛い物好きがお弁当にも現れてるっていうか……」
お弁当箱と巾着を順に指しながら話すのを、
ペットボトルのお茶を飲みながら聞く。
「可愛いものは好きだけどさ、
この外見でピンクの物たくさん持ってても……ね」
苦笑いしながら卵焼きを口にいれる真実。
確かに真実のイメージカラーはピンクじゃないけど……。
お弁当箱とか、ポーチとか、適度に可愛いもの持ってて、
ギャップというかなんというか……。
「いいなぁー……」
「ん?」
「ううん。なんでもなーい!」
笑いながらコロッケサンドをかじる。
「あ!そういえばさ、黒子くん?……ってバスケ部にいる?」
お弁当を食べ終えたらしく、うさぎさんりんごにフォークを刺そうとしていた真実が口を開いた。
『黒子くん?……いるよ?』
「ほんと!?どんな子?写真ある?」
前のめりになった真実に圧倒されながらも教室を見回す。
「いや、写真はないけど、黒子くんなら……あ!あそこに……」
火神と一緒にお昼ごはんを食べている黒子くんを見つけて、そちらを指さす。
「え?バ火神?」
「ちがうちがう、その前」
「えぇっ!?誰?!え、いつからいたの!?」
驚いた真実がフォークを持つ手にに力をいれた。
あぁ、うさぎさんりんごがまっぷたつに……。
「え、あの水色頭の影薄い子が……黒子くん?」
まっぷたつになったうさぎさんりんごの片割れに
再びフォークをさして疑うように聞かれる。
「え、うん……そうだけど……」
「うそぉ〜……」
私の言葉を聞いて机に突っ伏した真実。
ん?なにかまずいこと言ったっけ?