第4章 本入部
奏side
火神くんと黒子くんをマジバで見つけた翌日、
私はリコ先輩に呼ばれて食堂へ来ていた。
なんでも、お昼ご飯を食べながら話したいことがあるとか……。
食堂へ来るのは初めてだから、緊張しながら入る。
やっぱり2年生ばっかりだ……。
びくびくしながら中を見回すと、
見覚えのある茶髪のショートカットが視界に入った。
リコ先輩だ!
先輩を待たせてしまったことに焦り
駆け寄ってリコ先輩の向かいの席の横に立つ。
「お待たせしてすいません! ……ここ、座ってもいいですか?」
声をかけると、ゲームをしていたらしいリコ先輩が
視線をあげて笑顔を向けてくれた。
「奏ちゃん!わざわざ呼んじゃってごめんね?
座って座って!」
「全然大丈夫です!ありがとうございます」
ゆっくり腰を下ろし一息つくと
リコ先輩が机のはしによけたゲームに視線がいく。
邪魔しちゃったかな…?
「お邪魔しちゃいましたか?」
「ちょうどやめようとしてたから気にしないで?
あ!今やってるのは選手を育成して自分でバスケチームを作るやつなんだけどね、こいつが思ったとおり伸びてくれたの!もう最高!育てるって……ほんといいわぁ〜♡」
「へ、へぇ〜……」
身を乗り出して語るリコ先輩に、驚きつつも相槌を打つ。
どうしようリコ先輩が違う世界に飛んじゃってる……。
「監督、そのへんにしといてやれよ。
新沢さん驚いてるだろ」
声がした方を見ると、学食を持つ日向先輩。
日向先輩はトレーを置き、リコ先輩のとなりに腰掛けた。
あ、日向先輩が持ってる定食おいしそう。
今度真実と一緒にこようかな……。
ふと、ぼーっとして挨拶すらしていないことに気がつき、
慌てて口を開く。
「あ、日向先輩!こんにちは」
「ん、わざわざごめんな?……それより監督、そんなことで呼んだんじゃねぇだろ?さっさと話そうぜ」
「そんなの言われなくても分かってるわよ」
割り箸を割りながら話す日向先輩と、拗ねた様子のリコ先輩。