第3章 部活に入ろう
帰りのSHR後。
火神くんにこっそりついて行けば体育館に行けるだろうし、それでいいか、なんて甘い考えをしていたことを心から後悔した。
運悪く掃除当番に当たってしまうし、
しまいにはゴミ捨てじゃんけんでも負けるし、
本当に散々だった。
……おは朝占いのばかやろう。
そりゃあラッキーアイテムの蛍光灯なんて持ってきてないけどさ!持ってこれるわけないしさ!
イライラしてがに股になるのを抑えながら戻った教室は、やけに静かだった。
時計を見ると、仮入部開始まであと10分しかない。
迷子にならずに行けるだろうか。
カバンを手に取り教室から出る。
さすがの私でも、どっちの方面にあるかぐらいは分かるから、とりあえずそれっぽい廊下を走る。
小走りで廊下の角を曲がると、
先輩か同級生か分からないけれど
高身長の男子生徒の後ろ姿が見えて、足を止めた。
あの人バスケ部かなー?
バスケ部だといいなー。
体育館に行く人だといいなー。
祈りながらその後ろをついて行くことにする。(所謂尾行)
別になにかやましいことがあるわけでもないけれど
なんとなく息を潜めて足音をたてないよう気を使う。
明らか挙動不審で怪しまれるって分かってるけど
ほかの人に見られていなければいい話だ。
しばらく歩いていると、
私が目指していた建物が目に入った。
腕時計を見ても、仮入部開始まであと5分はあって、
ほっと胸をなで下ろす。
少しゆっくり歩きながら、彼が体育館へ入ったのを見届けた。
やけに早い心臓の音をごまかすように表情を作り、
自分も平然と体育館へと入る。