第11章 走る
予鈴が鳴った。
涙はなんとか止まったけど、そんなにしゃべれないまま2人で校舎に戻った。
なんか周りの人にチラ見されてるような…。
屋上のこと、もう噂まわってるのかな?
結局逢坂くんに、また迷惑かけちゃったな…。
私は教室の自分の席に座り、うつむいてため息をつく。
「サキちゃん」
茜ちゃんに声をかけられる。
「うん?」
私は顔を上げる。
「あの後…逢坂くんに会えた?」
「え? あの後って?」
「購買で私と逢坂くん話してるとき、サキちゃん通りがかったでしょ? サキちゃんが変な誤解したんじゃないか、サキちゃんは繊細だからって、逢坂くんすごく心配してたの」
そうだったんだ…。
「うん。会えたよ」
私はニッコリ笑って返事する。
「私、逢坂くんに聞いてたの。サキちゃんと付き合ってるんでしょって。
だってどう見たって、やっぱり仲良いもん。
逢坂くん、恥ずかしそうにしてたけど…『そうだよ』って言ってたよ。なんで私に隠すのよ」
茜ちゃんは頬を膨らませる。
「えへへ。ごめん」
私は笑ってごまかす。