第1章 越える
アルバムを見た後、ジュースを飲みながらおしゃべり。
私は2年A組。茜ちゃんと同じクラス。
E組の逢坂くんに茜ちゃんのクラスでの様子を教えてあげたりする。
30分くらい経つと、彼はぼんやりして話が頭に入らなくなってきたようだ。
「逢坂くん、大丈夫?」
私は声をかけてみる。
「ん…少し眠いだけだよ。昨夜はそんなに遅くなかったんだけどな…。早いけど、そろそろ帰るかな」
立ち上がろうとする彼の足もとがフラッとする。
「あっ、大丈夫?」
私は彼の身体を支える。
「少しここで眠っていったらどうかな。うーん…1時間ぐらいしたら起こしてあげるから」
そう言いながら、さりげなくベッドに腰掛けさせる。
「いや…悪いよ。君のベッドだろ?」
うつろな目で、彼が私を見上げる。
高揚して私の身体の中が震える。
気を確かにして、私は笑顔を作る。
「気にしないよ、そんなこと。それよりフラフラしたまま帰られるほうが気になっちゃう」
「そっか…ごめんね…。じゃあ、お言葉に甘えて少し休ませてもらうね」
ベッドに横になった彼は、すぐに目を閉じ、寝息をたてはじめた。
閉じたまぶたに長いまつ毛…
ゆるんだ唇…
彼の寝顔をウットリと眺める。
少し…
少しの間だけど。
これが私のもの。