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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第9章 無理のない脱走計画を


ギルに連れられ歩いていると、行き止まりにさしかかった。

立ち止まる私たち。

どうするのか私がキョトンとしていると、ギルは一切の動きを凍らせた。

ただ突っ立って静止していた。

怪訝に思うが、声をかけたり動いてはいけない気がして、私も同じく彫像のように固まる。

「……誰もいねぇみたいだな」

しばらくして、沈黙が破られた。

なるほど、周囲の気配を探っていたのね。

ギルはそう言うと、おもむろに岩肌の壁に手をかざした。

なにもない場所だ。

私には岩を触っているようにしか見えない。

と、ギルが岩の壁をタイピングし始めた。

なにをしているんだ一体。不憫でもこじらせたのか。

「――あとは、公子、と」

「はい?」

「なんだ?」

え?

「あの、今私の名前を呼びましたよね」

ギルが目をぱちくりさせる。

私も多分、同じ表情をしていると思う。

「いや、今日の復号キーワードの末尾が“公子”だったんだ」

当然のごとくそう言われた。

どなたが設定されたんでしょう……どこのどいつだ……いやドイツじゃなくて……

と、脳内でカチッとなにかがはまった。



“復号キーは彼女の名前だ!”



「なる……ほど」

つまりルートは、今から私が着く場所に合流しよう、とフェリちゃんに言ったんだ。
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