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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第9章 無理のない脱走計画を


「あっあのですね、その、ルートヴィッヒさんが……」

「ヴェストが?」

「はい……」

ギルの瞳が厳しくなった。

いやそこは「ヴェストかー!」とか喜んで、警戒をといて弟自慢とか始めるところですよね。

なぜ余計に警戒を強める。怖い。真面目なギルベルトさんって怖い。

そう恐れおののいていると、ギルが、

「ほら」

といって、唐突に手をさしだした。

「?」

「さっさと降りろ」

……あ、手をかしてくれるんだ。

おずおずと手を重ね、すとんと飛び降りた。

なんだかお姫様みたいで恥ずかしい。

息が荒くなったり、顔が赤くなったりしてないだろうか。

まだ胸の鼓動が乱れている。

高い場所から落ちたせいか、それとも別の理由があるのかは、今は置いておこう。

と、ギルがすたすた歩き出した。

背中を無防備に晒しているが、背後から奇襲されても私ごとき瞬殺できる、という自信のあらわれか。

警戒はといてもらってないように思える。

ここまで踏み込まれたから仕方なく、といったかんじか。それともいざとなれば口封じで――

「置いてっちまうぞ!」

「はっはい!」

ネガティブな妄想を中断され、慌てて私はその背中を追いかけた。
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