第9章 無理のない脱走計画を
――カシャン
突如、洞窟に似つかわしくないシャッター音が響く。
見ると、さっきまで岩だった壁に、
「……なに……あれ?」
水色がかった透明の、パネルが現れていた。
大きさはインターホンくらいか。
明るさは、よく目をこらさないとわからないほど微かだ。
その光は常夜灯より弱い。
わけがわからず戸惑う私にギルは
「入れ」
と、言った。
「……ドコニデスカ」
「そのまま壁を通り抜けられる。その壁は映像だ」
これが!?
ホログラムとかだろうか。
それじゃあグラフィック(?)がすごすぎる。
恐る恐る行き止まりの岩肌に触れてみた。
まるで空気を触っているよう、つまりなんの感触もない。
なのに、
「ひゃあっ!?」
手首が、壁にめり込んでいた。
信じられないが、信じるほかない。
意を決し、私は踏み込んだ。