第9章 無理のない脱走計画を
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「……――ぁぁぁぁぁぁああああああああああっ!」
死ぬ! マジで死ぬ!!
ぶよ~ん
「……へ?」
絶望的な気分で待ち構えていたが、衝撃はなかった。
かわりに、柔らかいソファに沈み込むような感覚がした。
もしくは低反発まくらを殴ったようなかんじ。
「なんじゃこれ」
見ると、寒天みたく透明色をした巨大なマットの上にいた。
本来の床から80センチ……いや、1メートル弱ほど段差があることから、この寒天ソファがかなり厚いことがわかる。
おそらくこれが落下の衝撃を和らげてくれたのだろう。
上を見上げると、光点が遠く小さく見える。
相当な高さを落ちてきたようだ。すごい素材ですな。
「ていうか、ここ……どこ……?」
周囲をキョロキョロする。
まるで広い洞窟だ。
謎の寒天素材以外、なにもない。
それに寒気がするほど薄暗かった。
わずかに緑がかった常夜灯が、申し訳程度に足元を照らすのみだ。
その常夜灯も、どこか不気味な煌めきを纏っている。
壁は、上に向かうにしたがい狭まっていた。
遥か頭上の光はこころもとなく、余計に孤独感が煽られる。
「誰か……」
「誰だ?」
「っ!?」
こ、この声は――