第9章 無理のない脱走計画を
そういえば、とフェリちゃんの行方を探す。
すると、私たちとはまったく逆方向に疾走している姿が見えた。
なぜかアルフレッドもそれを追っている。
「……ちょ……」
空恐ろしいことに、2人ともスピードが人間のものではない。
陸上選手が裸足で逃げ出すレベル。
というかアルは、私がまだフェリちゃんと一緒だと思ってるんだろうか?
そういえばアーサーが、4日連続徹夜明け、などと言っていたし。
ごり押しすぎる徹夜で、おかしくなりすぎたんだろうか……
ルートもそれを横目にとらえる。
しかし気にも止めず(フェリちゃんなら仕方ない)、ただ前一点だけを見据えて走っていた。
明確な目的地はあるようだ。
――突然、右前方の路地からアルフレッドが躍り出た。
「「!?」」
思わず肩がひきつり跳ね上がる。
ルートも一瞬言葉を失って、ハッと息をのみこむ。
俯きがちなアルの表情は、わからない。
が、まるで笑うように、全ての足掻きを嘲笑うかのように。
ゆっくりと、口の端がつり上がった。
「――っ!!」
ゾゾッと背中に底冷えする筋が走る。
まさか――行き先を読まれていた!?