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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第9章 無理のない脱走計画を


一瞬の無重力状態ののち、ぽすんと私はルートの腕の中に収まった。

「しっかり掴まってろ!」

わけもわからないまま、足も地につけず体が飛ぶ。

混乱しきった頭でもわかった。

私は、いわゆるお姫様抱っこをされているらしい。

ただでさえ不安定な体勢にもかかわらず、手がなにも掴んでいなかった。

つまり、落ちそうになる。

「きゃああぁぁっ!!」

悲鳴をあげ、慌ててルートの首に飛びつくと、青い瞳がすぐ目の前にあり――つまりそれはルートと超至近距離で目があっているということで――

「すっすすすみみゃせ◎¥★%*●§@×△」

「あっ離すんじゃない!」

「みぎゃあああぁぁっ!!?」

恥ずかしさで死にそう。ありえない。本当に顔から火が出そうだ。火力発電が余裕でできる。

ちらっと見えたルートの顔が赤かった気がするけどそんなわけない。

風邪のせいだ……ってルート風邪じゃないか!

心配になり、恐る恐る見上げて顔色を窺うが、至って普通だ。

私をかかえながら、よくもまあこんなスピードで走れるもんだと感心する。
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