第8章 In the closed closet
「……とにかく」
アーサーは眉間をおさえ、険しい表情をした。
そして頭を振り、私に視線を合わせる。
「お前に少し聞きたいことがあるんだ」
瞳がすっと細められる。
本人は普通のつもりなのだろう。
が、どことなく威圧感があった。
菊が止めようとするも、もういいだろとでも言う表情でそれを制す。
私を射抜くペリドットの瞳には、頑なな意志が宿っていた。
「お前らに主人を利用させるわけにはいかん」
バッと、突如目の前に大きな背中が広がる。
「そうだよ! 公子ちゃんに、あのトラウマを味あわせるわけにはいかないよ!」
右から手を回され抱きしめられる。
「全て私にお任せ下さい、公子さん」
左からしゃら、と抜刀のような音がした。うん気のせい気のせい。
「みんな……」
嬉しいけど、あまりアーサーをいじめてくれるな。
「べっ別に取って食やしねぇよ」
「貴様のような変態に#主人#を渡せるか!」
「おめーに言われたくねぇよばかぁっ!!」
「確かにそうですね……」
「なにをボソッと言ってるんだ本田!」
正直なところ、三人ともフォローしようがありません……。
フェリちゃんも同じことを言いたげだ。