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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第8章 In the closed closet


3人をいさめようとすると、視界の端で茶色い上着がぴくりとした。

私とフェリちゃん以外は、喧々囂々として気づいていない。

――ゆらり

アルの上体が起きあがる。

「……っ」

体が竦んだ。

匂いたつような殺気が、彼から立ちのぼっていた。

さすがに気づいたのか、3人が水を打ったように静かになっている。

不思議なことに、傍らのフェリちゃんが一番冷静に目を据わらせていた。

「……」

眼鏡の奥の青い瞳は身じろぎひとつしない。

逃げられ、ない。

「公子、俺と一緒に来てくれるね?」

――このアルは、私の知ってるアルじゃない。

ゴリ押しで連続徹夜したせいか、おかしい。かなりおかしい。いやいつもちょっとおかしいけど、今回ばかりはどうしようもなく手に負えない。

ガタガタと震えていると、突然腕が引っ張られる。

「ひゃっ!?」

「公子ちゃん走って!」

フェリちゃんに手を握られ、私は走り出していた。
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