第8章 In the closed closet
その二つはほとんど同時だった。
扉が開け放たれる。
眩しい光が目を突き刺す。
――明るい視界、目の前で、アルフレッドが仁王立ちしていた。
「…………」
「…………」
どこか虚ろな、キョトンとした瞳で私を見つめたアルは、なにも言わない。
私も硬直し、視線が彼に縫いつけられる。
……あ、
「ケチャップついてる」
なにを思ったのか、私はハンカチを取り出し、アルの口元をそっと拭った。
無音。誰も彼も動かない。
さながら一枚の絵のようだ。
しかしそれは、唐突に破られる。
「……」
アルが直立姿勢のまま、背中からまともにバタッと倒れた。
「…………え」
全く予期していなかった反応に、言葉を失った。
その場の全員が、口をミッフィーにして立ち尽くしていた。
しかしアーサーがバッと私を振り返り、
「いいか!? 徹夜4日目のあいつがそんな繊細なマネされたらキャパシティーオーバーでああもなるっての!!」
「余計にわけわかりませんよおおおおっ!?」