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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第8章 In the closed closet


それにしても空腹だ。

なんの嫌がらせか、クローゼットをお構いなしにいい匂いが漂ってくる。

「どうした? お前さっきから挙動不審だぜ」

「ヴェっ!? あ、その……おっ俺の料理がアーサーの口にあうかなって!」

「あー……その……まずくねぇよ」

「そっか! アーサーにきにいってもらえて嬉しいよ!」

「べっ別に褒めてねぇよ!!」

フェリちゃんの、本当に、本当に涙ぐましい努力が聞こえた。

味音痴二人以外の、さり気ない危機的状況。

さらに空腹ときている。色々と頭が痛い。

この状況を打破する方法を考えようとして、

「――っ」

唐突に、呼吸が断絶した。

背後から頭に銃を突きつけられる――そんな気持ちになる。

反射的に腹を手で抑えつけた。

蛇に睨まれた蛙でも、私ほど冷や汗をたらしていないだろう。

――ある生理的現象が、起ころうとしていた。

温度のない汗が頬をつたう。

頭が鬱血したように、どくどくと脈打つ。

あぁ、マズい――






ぐー






静かな食卓に、似つかわしくない異音が轟いた。
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