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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第7章 目覚めた場所は


困惑する私を見て、ルートは説明した。

「ネット上のある者が、今日この地で、天変地異が起こると発表したんだ」

胡散臭いぞ。

「その者は今まで地震や異変を言い当ててきたようでな。その名は世界規模のネットでは、ちょっとした有名人らしい」

「へえ……」

それはすごい……のか? よくわからない。まだ胡散臭い。

ルートも私と同じみたいだ。らしくとかようだとか、語尾はそればかり。

その反応がルートらしくて、私はにやけないために全精神力を駆使した。

「そのせいで店は閉まり、人々は家に閉じこもっている」

だから、やけにひとけがなかったのか。

「次に、まず謝るが紙袋の中を見てしまった。すまない」

「いっいえ!」

「倒れてきた像でコップが割れていたので、別の袋に入れさせてもらった」

そう言ってルートは、厚手の紙袋に入ったなにかの欠片を見せる。

砕け散ったそれは、菊のところから持ち出したままの、湯のみだった。

倒れてくる像から私を助けるだけで精一杯だったろうに、言い訳をしないルートはさすがだった。

というか、見ず知らずの私を助けてくれただけで、十分尊敬に値する。





頭では、そうわかっているつもりだった。

「……」

けれど、涙がこぼれた。

「あっ――す、すみません!」

「いっいや、俺の気が回らず――」

「いえルートさんはなにも悪くないです! 私が体調崩したせいですから」

涙を乱暴に拭い、早口でまくしたてる。

ルートはおもしろいくらいに狼狽していた。

ギルが真面目に働きだし、フェリちゃんが頼れる軍人になったのが、いっぺんに起きたときくらいの慌てっぷりだ。

私は涙をこらえて、笑みを作ろうとした。

けれど、あとからあとから涙が溢れてくる。

――菊と話したあの瞬間との繋がりが、砕けてバラバラになった気がしたからだ。
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