第7章 目覚めた場所は
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額に冷たい感触。
体にはフワフワとした柔らかな感触。
――デジャヴ。
私は、ゆっくりと目を開ける。
「ん……」
長方形のソファを2つくっつけた上に、私は寝かされていた。
あたりにはロッカーばかりが並んでいる。まるで控え室だ。
例に漏れず見覚えはない。
静かに起き上がると、額にあった濡れタオルが落ちた。
「私、無事だったんだ……」
彫像に打ちすえられた気がしたが、どうやらそうではないらしい。
無傷の体に、軽快に思考ができる頭。
風邪が嘘のようだ。うーむわけがからない。
とりあえずソファから立ち上がり、扉のドアノブに手をかける。
が、動かす間もなく扉が開いた。
「あっ……」
飛び込んでくる明るいブラウンの瞳。
驚きに開いたそれに、ばちっと目が合う。
瞳と同じ、柔らかな色彩のくるんがぴょんと揺れる。
眼前の彼は見間違うはずなどなく――イタちゃんもとい、フェリシアーノだった。
「わーっ! よかった、起きたんだね!」
「ふぉおっ!?」
花がパッと咲くような笑みで、いきなりハグされた。歪みねぇ。
続いて手を握られ、
「体平気? 具合はどう? どっか痛くない?」
心配そうに眉をしょぼんと下げ、首を傾げて尋ねてきた。この時点で、「マジ天使!!」と叫びたかった。
「……すみません、ご迷惑をおかけして」
「迷惑なわけないよ! なんたって君と出会えたんだもん、俺すっごく嬉しいよ!」
手をぶんぶんと振られる。
すみません可愛すぎるんですが……