第2章 邂逅と眩暈と
突然のことに隣の二人が飛び上がる。
続いてなんだなんだと、トランプの二人もこちらを振り返る。
……ちょっとまだ頭がついてけてない……
「わーっ!? 待て! 待つある!! ヨンスも香もこっち向くなあるっ!!」
突如耀が叫び声を放ち、ドタバタとトランプ組のもとへ走りだした。腰大丈夫かな……
「なんすか兄貴」
「先生、そいつ――」
「いいいいいからとにかくあっち向いてるよろし!」
「「?」」
ちらっと見えた横顔が赤い。
「あ……あの……」
盛大に困惑しつつも、遠慮がちに声をかける。
すると、なぜか湾ちゃんに体の向きを変えられた。
「ごめんネー今直すヨ」
私が顔にハテナを浮かべまくっていると、湾ちゃんは申し訳なさそうに、しかし少し愉快そうに言った。
「腰のとこ緩めてたから、はだけちゃったネー」
言われて、自分の胸元を見る。
なんと、鎖骨が剥き出しだ。というか、
「ッ!?」
かなりきわどい感じにはだけていた。
しかもなんの追い討ちか、浴衣のようなものを着せられている。
いつの間に!? と、というか誰が!?
そんな一連の感情が顔に出ていたのか、湾ちゃんは軽い口振りで続ける。
「大丈夫、私が着替えさせたヨー」
「そ、そうですか……」
ハハハ、と乾いた笑みが浮かんだ。
と、襖がガラッと開く。
耀の叫び声を聞きつけたのか、「どうしました!?」と菊が入ってこようとした。
すぐさまそこに駆けつけ「今取り込み中ある!」と追い返そうとするにーにー。
なにこの状況。泣ける。