第2章 邂逅と眩暈と
「もうすぐ3時間たつんだぜ……」
「けど熱は37度まで下がったヨ」
「にしても菊、本当にこの娘誰あるか?」
「ですから、私にもわからないんです。急に風呂場に現れて……」
「ぶっちゃけこの時期だと怪しすぎ的な」
ぼんやりした意識の中、声が聞こえてきた。
どうしてか、その声たちに聞き覚えしかない。
ぱちっと目をひらく。
映り込んできたのは見紛うはずもなく――亜細亜組の皆さんだった。
まず、すぐ隣の湾ちゃんだ。
私のためか、替えの濡れタオルを絞っている。
つぎに、にーにーもとい耀は、私の隣にお粥を置いたところだ。
少し離れたところでトランプをしているのは、ヨンスと香くん。
最後に、私が風呂場で裸を目撃してしまった青年――菊。
襖から出て行ったのがちらりと見えた。
私といえば、真っ白な布団にくるまり仰向けになっている。
畳の匂いが心地よい。
…………じゃなくて!
えーと、
…………。
……。
はじかれたように私は起き上がった。