第5章 うつつか夢か
記憶は曖昧だ。そのもどかしさで、頭が爆発しそうだった。
記事には、参考文献が紹介されていたはず。それを読めば、もっと彼らの力になれるかもしれない。
菊は考えこんでいる。
いろんな仮説を立てているのだろう。
「……トランシルバニア現象……天気……陽イオン……」
絶賛お取り込み中のようだ。ああでもないこうでもないと、ぶつぶつつぶやきながら、自分の世界に入ってらっしゃる。
ため息をとともに、独り言が口からこぼれ落ちた。
「天気はもとい月の影響を動物も受けるんだから、人間がそうでもおかしくないよねぇ……」