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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第5章 うつつか夢か


「質問とはちょっとズレますが……月の影響はいろいろすごいですよ」

ぴくっと菊が反応を示した。

手が止まり、テーブルに向いていた顔がこちらを見る。

早く続きを、と目がうながしていた。

新聞のコラム欄で得た知識なので、記憶はおぼろげだ。

うまく説明できるか不安だが、私は口をひらく。

「たとえば天気、もうこれは通説となってます」

「満月に雨が降りやすい、とかでしょうか?」

「はい。北米では月齢第1週――つまり新月と、第3週――満月の3、4日後、豪雨が起きやすいらしいです」

「豪雨に周期があると?」

「そういうことになりますね。近い将来、天気予報に月齢が加わる可能性は高いです」

目をキラキラさせながら、菊が興味深そうに頷いた。

私はさらに続ける。

「あとは、精神病院や警察、それに消防署も、満月には特に気をつける、という伝統? のようなものがあります」

菊が驚いた表情を見せた。

私が初めて知ったときも、同じような顔をしていたにちがいない。

月が人を狂気に駆り立てる――そんなことが、通念としてまかりとおっている場がある、なんて。

「つまり――」

「意識障害に関係がある可能性もある、と」

菊がゆっくりと言葉にした。

ためらいがちに、私は頷く。
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