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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第5章 うつつか夢か


「なにか質問はありますか?」

「いえ、今のところはありません」

多すぎる情報が脳内で交錯している。

こんなキャパシティーオーバーな頭では、なにがわからないのかわからない状態だ。

「わからないことがあれば、いつでも仰って下さい」

真摯な表情でそう告げられる。

優しい気遣いに拍手をおくりたかったが、礼を言うだけに留めた。

続いて申し訳ないのですが、と再び菊が話し出す。

「なんでも構わないので、この世界についての一番強い印象を、お聞かせ願えますか?」

「なんでも……ですか?」

「はい。別世界からきた#公子#さんだけが気づいていることも、あるかもしれません。本当になんでも構いませんので」

人間、“なんでも”と言われると困るものだ。

夫から夕飯を『なんでもいい』と言われた主婦の大変さが、身にしみる。

えぇと、えぇと……ほっ本当になんでもいいのね!?

意を決し、口をひらく。

「一週間前自分の世界で見た満月より、こっちの月のほうが綺麗で、びっくりしました」

「一週間“前”? 時間のズレがあるのでしょうか……」

お月見はよそでやれ、と言われるのを覚悟していたが、至極真面目に受け取られたらしい。

なにやら熱心にペンを走らせている。そろそろ寝たらどうだい祖国。
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