第44章 Aiming for an “APPLE”
遠くに見える電波塔。
そこに、中央コンピューターなるものがあるという。
バルトの面々は、それを“APPLE”と呼んでいた。
全てのマシンを統べるもの。
すなわち、存在する全ての電子機器に接続することができる端末だという。
「本当にそんなものがあるんですか?」
「ええ。O・N・ネウを名乗る者からそれを探すように言われたんです。以来ずっと追っています。僕たちが大国と渡り合えるカードになり得ますから」
エドは肩をすくめ、一度言葉を切った。
「……それと、公子さんに……謝らなければならないことがあります」
エドは急に改まって、私の目を真っ直ぐ見つめてきた。
「公子さんがあのときあそこに現れることは、事前に知っていました」
「え……?」
「僕たちは公子さんが鍵になるというメッセージを受けて、声をかけたに過ぎません。プログラムを作動させるために利用したようなものです。助けただなんて、とても――」
エドがうつむく。
ディスプレイ越しの2人も、なんだか雰囲気が重たい。
事前に知っていたというのは驚いた。
けれど、咎めるような気持ちは微塵も起きなかった。
だって彼らの行動は、ほかでもない、彼らの国民のためだからだ。