第43章 In the Ghost town
「ヨンスさんと香さんは生身の身体でここに連れてこられたんですね」
「お前たちは……?」
「僕も公子さんもアバターを動かしているだけのようなものですが、公子さんは神経などを繋いでより深く接続しています」
「ここがどこなのかも知ってるのぜ?」
「わかりません。3人がかりで解析中ですが、家の構造は公子さんの記憶をベースとしているようです」
「どうして私の……」
「わかりませんが、ここへのアクセス権限はかなり限定されていて、分厚いファイアーウォール……まぁ、外部からの侵入は極めて困難になっています。セーフハウスだと思ってもらえれば」
ふら、とヨンスの上半身が揺れる。
慌てて支え、枕に寝かせた。
エドがヨンス額に、冷えた濡れタオルを乗せる。
ヨンスの目蓋は、ゆっくりと重たく瞑られていった。
布団をかけながら、せめてこの眠りは安穏であれと、声をかける。
「まずは休んでください」
「香を……探さないと……」
「えぇ。でも今は傷を治してください」
「時計……を……」
言いかけたヨンスの口元からは、すぐに静かな寝息が聞こえるようになった。
「時計?」