第43章 In the Ghost town
エドと顔を見合わせる。
「普通に動いてますね」
エドは眼鏡のフレームを押さえながら、レンズにネオンブルーの文字を走らせていた。
仕組みはよくわからないが、「向こうの2人と通信してます」と言っていた。
ヨンスを起こさないように、ゆっくりと部屋から出る。
まず、リビングにあるパソコンを調べる必要がありそうだ。
と、そのとき。
ダンッ、と突然窓が叩かれる。
驚いて音源を見れば、奴だった。
私に襲いかかってきた、黒い人型の靄だ。
その靄が、窓のすぐ外にいた。
「大丈夫です。あの香さんは入ってこれません」
私の前に庇うように立ち、目線はそのまま、首だけ動かしてエドが言った。
「待って、今なんて……?」
「ソースコードは解析中ですが、なんらかのコンピューターウイルスに操られていると思われます。生身の身体がコンピューターウイルスになんて、意味がわからないですよね」
苦笑混じりのエドの言葉が、よく聞こえない。
彼は今、なんと言った?
「……あの黒い靄が……誰かわかるんですか?」
エドは少し訝ったのち、当然のように答える。
「あれは香さんじゃないですか」