第42章 諸刃の刃の切っ先で
ライヴィスにうながされ、私は部屋に足を踏み入れた。
地下室特有の、少しひんやりとした空気に包まれる。
機械の排熱用ファンか、部屋全体の換気用ファンのおかげか、かすかな風の流れを感じた。
O・N・ネウ。
聞き覚えのある名前だ。
確か、ネットで有名な、異変関連で預言者とか言われてる人だったっけ。
「驚きましたよ。“これ”の演算能力は、現在我々が持つ技術をゆうに超えているんです」
エドァルドの言葉を聞きながら、ふとポケットに違和感を感じた。
ほんのりと熱い。
手で探ると、あっ、とひとりでに声が出る。
「公子さん、“あちら側”から何か受け取ったのではありませんか?」
その問いと、私がポケットから“それ”を取り出したのは同時だった。
「それは……!?」
3人が近づいてくる。
私はアーサー(偽)から渡された、黒いチップを手のひらに出した。
熱源はこれだ。
どうしてか、心臓がドキドキする。
『“double edged sword”』
『彼らを救いたいなら、それを使え』
奴の、美麗すぎるクイーンズイングリッシュな発音を思い出す。