第41章 暗鬼による確信による、
「今ここから最短距離で行ける、最も安全な場所です。ひとまずそこへお連れしてもいいですか?」
「は、はい……でもいいんでしょうか……」
不安そうに返答される。
一瞬その意図がわからなかったが、はたと思い至った。
どうやら彼女は、自分がバルトアジト(仮称)に踏み入ることで、その安全性を損なうのではないかと危惧しているようだった。
的確に罪悪感を刺激され、思わず呻きそうになる。
「公子さん、迷惑になるかもだなんて、そんなこと思わないでください。
そもそも僕たちは根本的に、自分たちのために動いているのですから」
「自分たちのため……」
「はい。つまりは異変解決のため、公子さんの……力を借りようとしている」
我ながら、卑怯な言い方だ。
内心で自嘲気味に笑う。
「そんな、そのために……力になりたくて来たんですから……っ」
公子はそう言うのが精いっぱいのように、言葉を絞りだした。
なにかを懸命に堪えた、泣きそうな眉が愛想笑いを作る。