第41章 暗鬼による確信による、
「あの、どこへ向かってるんですか?」
公子から遠慮がちに問われ、トーリスが少し困った視線をよこしてきた。
しょうがない。
助手席から体をやや乗りだし、後部座席の公子と目を合わせる。
「いろいろと説明不足のまま車に乗せてしまってすみません。改めて、エドァルド・フォンヴォックといいます。運転手をしているのはトーリス・ロリナイティスさんです」
フロントミラー越しにトーリスがにこっとした。
公子も恥ずかしそうに会釈を返している。
「今向かっているのは、僕、トーリスさん、ライヴィスの……そうですね、アジトです」
「アジト?」
公子がポカンとおうむ返しする。
その様子が可愛らしかったのか、トーリスがふにゃっと微笑んだ。
いやそこ、和んでいる場合じゃないぞ。
「もとはイヴァンさん対策のためのものだったのですが、今は例によって異変対策会議用のアジトとなっています」
「イヴァンさん対策なことにはかわりないんですけどね」
ため息混じりにトーリスが呟いた。
そのとおりである。