第41章 暗鬼による確信による、
どうして?
『君を信じたのは間違いだった!』
……どうして?
私、みんなの力になりたくて、ここに来たんだよ。
21時のアナウンスが耳の奥で聞こえた気がした。
菊も、どうして?
撃たれてもいい。
あの微笑は、そう言っていた。
そんなことを言わせてしまったのは、私――?
張り詰めた空気から解放されたことで、緊張の糸が切れたのか。
バケツをひっくり返したように涙と感情が溢れてくる。
無性に腹立たしくて、悔しくて、情けなくて。
『ニュースナインです』
2回目に聞いたアナウンスが、また耳の奥で不愉快に響く。
誰かが誰かを撃つような、誰かが誰かに撃たれることを厭わないような。
そんな景色を見に来たんじゃない。
”私の世界“、いや、“私”の時間がおかしくなっている――
そんな疑いを、恐怖を、それでも顧みずトリップしてきたのは。
皆の力になりたかったからだ。
なのに、
『君を信じたのは間違いだ』
なんて、冗談みたいな言葉を向けられている?
そう考えて、わかりきった答えが出た。
――言わなかったからか。私が。
唇の端が自嘲を形作る。
言わないと決めたのは私だ。
向けられた銃口が意味するところは、単に、“アルフレッドと信頼関係が築けていなかった”、それだけなんじゃ?
微かに笑いながら涙をぼろぼろこぼす私を異様と思ったのか、アルはかぶりをふって、「俺、は……」と呻く。
アーサーか誰かが、なにかを言ったような気がした。
けれど、冷たく沸騰する感情で、耳が膜で覆われたように聴覚が鈍い。
誰がなにを言っているのか、よく、わからな――
「やっぱり、君だったんだね」