第41章 暗鬼による確信による、
銃声?
どうしてそんなものが聞こえてきた?
どうして、菊は、血を――
腕の赤い染みを膨張させながら、菊はアルフレッドに歩いていく。
永遠に届かないように思えた距離は、現実にはたった数歩でしかなく、
「もう、大丈夫ですから」
菊はアルフレッドの手元に、そっと自らの手を添えた。
そしてそのまま、ゆっくりと銃口を下ろさせていく。
自分が何をしたのか、まだ理解できていないアルフレッド。
その瞳がぐらぐらと揺れだし、手から銃が落ちるのと同時に、瞳から透明な雫が頬をつたった。
憑き物が落ちたように、アルフレッドの瞳はいつもの水色に澄んでいた。
「――菊っ!」
アーサーの叫び声を合図にして、ぐらりと菊の体がかしぐ。
そのまま膝をついた菊は、駆け寄ってきたアーサーに「こんなのかすり傷ですよ」と特に表情を変えずに言った。
対するアルフレッドは放心状態なのか、一点を見つめたまま、自分が何をしてしまったのか信じられないと言った顔をしている。