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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第37章 第二部 プロローグ/プログラム起動


「きみは一体……」

問いただそうとするが、すぐそばを風が吹き抜ける。

振り返ると、扉からマシューが廊下の暗闇に消えていた。

「ま、待ってくれ!」

弾かれたように立ち上がり、後を追う。

アルフレッドの声を無視するように、マシューは廊下を走っていた。

ざわざわとこれ以上ないくらいの胸騒ぎがする。

――ドンッ!

また爆発音が轟く。今度はさっきより近い。

角をまがったマシューが視界から消える。

「待ってくれってば!」

ほとんど叫ぶように呼びかけるが、返ってくるのは走る音だけだ。

走りながら、つい数秒前のことを思い出す。

機械音声は、たしかに『All delete?』と言っていた。

それに対して、マシューは「Yes」と答えた。

続いて起こる爆発、走り出すマシュー。

なにがなんなのかさっぱりわからない。

この施設を破壊して、彼が得をすることなどない。

二人でクマを作りながら、夜通し書類とにらめっこしたことを、マシューが忘れたんだろうか?

いやそんなことあるはずない。

「マシュー! 待ってくれよ!」

困惑とこみあげる不安に、叫ばずにはいられなくなっていた。
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