第4章 夢かうつつか?
頭を抱えたい思いでいると、視界を時計がよこぎり――寝ぼけ眼が、一気に覚める。
「じっ11時ぃ!? ヤバい私はどのくらい寝てたんだっ!? 宿題予習やってないし明日学校だよっ!!」
学校、勉強、そう現実的に喚いてしまう自分が、なんだか悲しい。
落ち着こうと深呼吸を三回。
その間に、自分の下着のことなども思い出し、窓から飛び出して向かいの川に飛び込みたくなった。
ようやく平静を取り戻した私は、音をたてないよう部屋を出た。
廊下に踏み入り、前後左右をキョロキョロと見回す。
誰もいないことを確認すると、リビングと思しき場所へと足を向けた。
「……」
微かに響く床の軋む音。自分の足音。衣擦れの音。息遣い。
それ以外、これといって聞こえるものがなかった。
……皆寝ちゃったのかな?
そんな疑問が頭をもたげてきたとき、ようやく違う音が聞こえてきた。
バサッと紙をめくる音。
それからカリカリという硬質な音。なにかを書いているようだ。
それと、寝息だろうか?
リビングらしき部屋の扉は開いていた。
意を決し、壁からそっと顔を出す。
そこには、書き物をしている菊と、テーブルに突っ伏して寝息の主となっている耀がいた。