第4章 夢かうつつか?
目をあけた。
見慣れない天井が、視界に降ってくる。
「……」
夢を、見ていた。
けれど内容を全く覚えていない。
普段なら特に気にも止めないことなのに、今日ばかりは頭に引っかかった。
……えぇと、私は今どうなっているのでしょう?
清潔感のある布団。
落ちつく畳の匂い。
ピシリと張った障子。
どれも、見覚えがない。
混乱した頭のまま、布団から出て立ちあがる。
それから出口を探すように、障子を引いた。
「わっ……」
障子の向こうで、煌々とした満月が私を見据えていた。
思わず、声をもらしてしまう。
吸い込まれてしまいそうな光。
私は断言できる。
この月は、今まで見てきた中で間違いなく一番美しい月だと。
「……いや、おかしい」
たしか一週間前くらいにも、満月を見なかったっけ?
と、ハッと事態を思い出す。
自分が今どこにいるのか、どういう状況なのか、ということを。