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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第29章 for dear my imaginary blank


「――それで、最初に来た地点に行ったら、戻って来れたんです」

口をはさまれることなく、私は全てを説明し終えた。

一同は言葉が見つからないようだった。

フェリちゃんの顔を、見ることができない。

「……私がいなければ、アントーニョさんはその場にとどまって、ロヴィーノくんを探すことができたかもしれません」

「それは違うよ」

間髪入れずにフェリちゃんが言った。

その顔からは、いつものほがらかな笑みは消えている。

「危ない場所で公子ちゃんをつれ回すなんて、そんなの兄ちゃんは許さないよ」

どう返答すればいいのかわからず、私は黙りこむ。

……それも、わかるのだ。

戻るときのアントーニョの、葛藤する表情を思い出せば。

けれど、丸腰の一般人は足手まといだ。

それは変えられない事実だった。

――コン、コン

静まりかえる室内に、軽いノック音が響く。

「……あー、お邪魔するよ?」

なんとも言えない笑みのフランシスと、

「すまん、盗み聞きするつもりはなかったんだが――」

気まずげに眉をしかめるアーサーだった。
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