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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第29章 for dear my imaginary blank





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

菊に促され、ひとまず移動することとなった。

通されたのは、大きめの客間だった。

畳の匂いがして、脱力した勢いでそのまま座りこんでしまった。

菊、フェリちゃん、ルート、アントーニョ、ギル、私の並びで茶色いテーブルを囲む。

さっきより落ち着いてきた私とは対照的に、アントーニョはより取り乱していた。

暴れこそしなくなったが、見たこともない蒼白な顔でうつむいている。
    、、、、
まるで、あの瞬間の動揺を取り戻すように。

血の海を発見したとき、二人ともがパニックに陥っていたら、そして彼の決断がなければ。

私たちは今頃あのゴーストタウンで、どうしていたんだろう――?

「公子さん」

呼びかけられ、肩がびくっと跳ねる。

「落ち着かれましたか?」

「は……はい、大丈夫です、話します」

「いえ、無理をなさらず――」

「時間がないんです」

菊を遮って、その黒い瞳を見つめる。

強い口調に戸惑うこともなく、彼の瞳は一層真剣さを増した。

私は、物音がして部屋に踏みこんだところから今に至るまでの、全てを説明し始めた。
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